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【放置竹林問題】山林の環境を守るには?

2024.07.12

【放置竹林問題】山林の環境を守るには?

Technicalnote 技術情報

お世話になっております。キャディアンです。日本ではかなり昔から竹の文化が根付いています。縄文時代の遺跡から竹製のかごが出土されていますし、古事記や日本書紀には、タケノコが食べられていた記録があります。現代でも私たちが食べている食用タケノコの代表種であるモウソウチクは江戸時代に中国から渡ってきたものです。大正時代にはタケノコの缶詰製造がはじまり、その後、行政が栽培を振興したことにより全国各地に竹林が作られ、農家の重要な収入源となっていました。しかし1980年頃に安価な中国産タケノコが輸入されるようになると、採算が合わず放置された竹林では竹が増殖し、放置竹林問題として取りざたされるようになります。今回はそんな放置竹林に関する記事です。



竹林が放置されることで生じる問題

他の樹木が成長できなくなる

木々が成長するためには日光が必要不可欠です。竹の成長速度はすさまじく一日で1メートル以上成長する場合もあります。このため、あっという間に増殖した竹が杉やヒノキなど元から林に植生していた樹木の成長を妨げてしまうことがあります。また日光を遮られた樹木は、枯れてしまう場合もあるのです。


土砂災害の危険性が増す

樹木の根は、土壌層を網の目のように広がり、土砂崩れを防ぐ役割を果たしています。しかし竹の根っこは浅く横に広がるため、土砂崩れを防ぐ力が弱いと言われています。平成10年9月の集中豪雨では多くの土砂災害が発生しましたが、そのその約1/3は竹林が見られる箇所で発生したというデータもあります。



竹の有効活用

放置された竹林は上記のような問題を引き起こしますが、竹は他の植物には無い多くの特徴をもっており、私たちの生活のいたるところで活用されています。


春の味覚として親しまれる食材

たけのこは春の味覚の代表で、様々な料理に使われています。ラーメンに欠かせないトッピングのメンマは、タケノコから作られています。食材そのものとしてではなく、食品の入れ物をしても使われてきました。時代劇などで竹の水筒やおにぎりを竹の葉で包んでいるのを目にした人もいるのではないでしょうか。

古くから使われてきた竹製品

日本では、縄文時代から竹を生活のいたるところで活用してきました。建材や家具、かごや食器以外にも、竹炭にすることで消臭剤や肥料としても活用できます。茶道や華道、雅楽など日本の伝統文化でも竹製の道具は多く使用されています。



竹の新しい活用方法

伝統的な活用方法の他にも最新技術を使った竹の新たな活用が模索されています。


乳酸菌の力! 「竹パウダー」

竹パウダーとは、その名前の通り、竹をパウダー状に加工したものです。竹は水分を吸収するときに、土中の乳酸菌や土着菌等のバクテリア類を一緒に吸収します。パウダー状にすることで自然発酵しやすい状態になり、一定期間発酵させる事で、畑に適した土壌改良剤となります。乳酸菌は土中で善玉菌を活性化し、逆に悪玉菌を抑制するので、野菜や果物の成長促進、糖度を高める、収穫量の増加をいった効果が期待できます。また、病気に掛かりにくくなり、雑草の発生を抑える効果もあると言われています。


丈夫さと書きやすさを両立! 「竹紙」

紙の原料は樹木から作られるパルプですが、針葉樹からは強度の高い丈夫な紙が製造され、広葉樹からは印刷に適した紙が製造されます。竹材の場合は針葉樹と広葉樹の中間的な特徴をもつ紙が出来ます。一方で竹を紙にするには他の樹木と比べて効率が悪く、竹紙の生産は少ないのが実情でした。しかし放置竹林の問題がクローズアップされたり、サステナブルな取り組みの一環である廃棄物削減の機運を受けたことで竹紙が注目されています。竹紙は文字や色がにじみにくく、紙自体が丈夫で書き味も抜群だそうです。


生物由来の再生可能なエネルギー源! 「バイオマス燃料」

これまで竹はバイオマス燃料に不向きな素材とされてきました。竹はカリウムや塩素を多く含んでおり、それがボイラーや発電設備に悪影響を与えるからです。しかし竹の有効活用の観点から様々な企業や自治体で技術開発が進んでいます。

放置竹林を減らすために

放置竹林を減らすためには、竹林を適切に管理するしかありません。しかし管理には手間と費用がかかります。竹林の伐採に使える補助金制度もありますが、伐採した竹が資材として価値を持つように実用的な活用技術の開発が急がれます。

また放置竹林問題の解決を事業としている企業もあります。放置竹林問題の解決を事業として取り組まれている株式会社たけふぁむは、2023年10月に設立された山口県岩国市の企業です。「社会課題をビジネスで解決する!」を目指し、竹林を管理できなくなった人から依頼を受けて竹の伐採をされています。牡蠣筏用の竹材や、竹パウダーにできる場所の竹なら、無料で伐採を請け負うこともあります。厄介者の竹を魅力的な資源に変えるという発想から始められた事業だそうで、社会問題を解決しながら、竹を廃棄するのではなく資材として活用し、まさにサステナブルな取り組みをされている企業です。

まとめ

今回は放置竹林問題を取り上げましたが、竹林は適切に管理すれば、風光明媚な景観を生みますし、食料や製品としても利用できます。竹林の分布範囲や山林の地形の把握に点群データを使用し、効率の良い伐採計画の検討や資源量をもとにコストの試算が行われています。キャディアンでは、点群データの計測サービスをご提供しておりますので、ご興味ありましたら、ぜひお問い合わせください。

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