2025.01.06
【炭素循環社会】カーボンニュートラルとは?
技術情報
お世話になっております。キャディアンです。2023年の「ユーキャン新語・流行語大賞」は阪神タイガース・岡田監督の「アレ(A.R.E.)」が年間大賞に選ばれました。毎年数多くの新語が生まれていきますが、歳を重ねるごとに聞いたことのない言葉が増えていくのは私だけでしょうか?今回は環境問題に関する新語についてご紹介します。
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量と植林などによる吸収量を±0にする取り組みのことです。2007年にノルウェーでカーボンニュートラルの政策目標が掲げられて以降、世界各国で取り組まれています。日本では2020年10月、政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。人類が生きていくには温室効果ガス排出は避けられないので、経済にも大きく影響する取り組みです。
なぜカーボンニュートラルを取り組むのか?
温室効果ガスによる気候変動など地球温暖化問題が深刻になっているからです。カーボンニュートラルを実現する方法には大きく分けて、温室効果ガスの排出量削減と排出分を賄える吸収量の維持の二つがあります。
温室効果ガスによる地球温暖化とは
二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類などの温室効果を持つ気体の総称です。大気全体で温室効果ガスの占める割合は約0.05%で、温室効果ガス総排出量のうち76%は二酸化炭素です。地球は太陽からエネルギーをうけとり、それとほぼ同じだけのエネルギーを宇宙に放出しています。そうでないと地球はエネルギーをため込み続け、気温が上がり続けてしまいます。地球をちょうどいい気温に保ってくれているのが温室効果ガスです。温室効果ガスは赤外線(熱)を吸収し、再び放出する性質(イメージ図1)を持っています。温室効果ガスの効果が0と仮定すると地球の表面温度は-19度になってしまいますので私たちの暮らしになくてはならないものですが、温室効果ガスが必要以上に増加してしまうと地球温暖化につながるというわけです。政府間組織であるIPCCの報告では、温暖化による経済的損失は、1950年代の年間39億ドルから1990年代には399億ドルと10倍になっており、さらにこのまま温暖化が進めば、2050年には年間3000億ドル(35兆円)という規模になると予想されています。
温室効果ガスの排出量削減
排出量の削減では、発電や工場、自動車で化石燃料の利用を抑制、化石燃料の代わりに太陽光や風力などの再生可能エネルギーを使用するなどの方法があります。これは温室効果ガス総排出量のうち76%を占める二酸化炭素の削減を目指すものです。一方、メタンや一酸化二窒素などは割合としては少ないですが、温室効果は二酸化炭素の約20~300倍の効果を持ちます。これらの温室効果ガスも発生してしまったメタンガスの有効利用や温室効果ガスが発生しにくい肥料や飼料の開発など削減が進められています。
温室効果ガスの排出分の吸収
温室効果ガスはいくら削減しても減らしきれるものではありません。ですので排出してしまった温室効果ガスを吸収する取り組みも必要です。具体的には植林があげられます。産業としての植林だけではなく、ボランティア団体や企業などが主体となって、環境対策としての植林も様積極的に行われるようになってきました。二酸化炭素の吸収というと植物によるものが思い浮かびますが、実は海も二酸化炭素を吸収しています。二酸化炭素は水に溶け込む性質があるため海水自体が吸収しているほか、植物プランクトンによる光合成でも吸収されます。また二酸化炭素を回収貯蔵する「DACCS」や「BECCS」といった方法もあります。
カーボンニュートラルによる企業への影響
温室効果ガスの削減は企業活動に大きく影響し、国が政策として掲げている以上、避けては通れないものです。企業には再生可能エネルギーへの切り替えや温室効果ガス排出量の見える化、省エネ対策の導入が求められています。これらの対応にはコストがかかりますが、自然環境だけではなく企業にとってもメリットがあります。メリットとしては環境配慮企業としてイメージや知名度・認知度の向上、光熱費・燃料費の低減などがあげられます。
まとめ
カーボンニュートラルは、2050年の実現を目標に、温室効果ガスの排出削減や排出した分が吸収される取り組みが行われています。企業においては、再生可能エネルギーへの切り替えや温室効果ガス排出量の見える化、省エネ対策の導入が求められています。設備の入替等で設備BIM導入を検討されている方は、ぜひキャディアンまでお問い合わせください。
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