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設計改善を可視化する ~熱流体解析ソフトFlowDesignerのご紹介~

2024.09.04

設計改善を可視化する ~熱流体解析ソフトFlowDesignerのご紹介~

Technicalnote 技術情報

お世話になっております。キャディアンです。今年の1月には最強寒波が襲来し、車の立ち往生などが大きな話題となりました。とても寒かったので、たくさん着込んで外出するわけですが、そんな時に発生するのが「エアコンが効いていると暑い問題」です。地下街などを歩いていると、お店が並んでいるエリアは店舗の温かい空気が漏れていて暑く、地上への出入り口付近は外と同じくらい寒かったりします。そうすると寒いのに汗ばむという不思議なことが起こります。(私だけでしょうか?)今回はそんなお悩みが解決されるかもしれない記事になります。



熱流体解析とは?

気体や液体のことを流体と言います。流体が移動することによって生じる影響や流体の持つ熱の伝導によって生じる影響を解析するのが熱流体解析です。CFD 解析やCAE解析とも言います。冬に暖房をつけるとエアコンから暖かい空気が出てきて部屋全体が温まります。これは流体が移動することによって生じる影響です。暖房を消すと、また部屋が寒くなりますが、これは冷たい外の空気に熱を奪われてしまうからです。これが流体の持つ熱の伝導によって生じる影響です。余談ですが、流体の区分のひとつに「ニュートン流体」と「非ニュートン流体」があります。与える力の変化によって粘度が変わらないものがニュートン流体にあたります。ニュートン流体に区分される代表的な流体は、水やはちみつです。非ニュートン流体は与える力によって粘度が変わる流体です。大体の流体がこの非ニュートン流体に該当します。生クリームは、そのままだとサラサラですが、かき混ぜていくと固まっていきます。対して水はどれだけかき混ぜても粘度が変わらないというのが、わかりやすいイメージだと思います。

熱流体解析の重要性と難しさ

日本の年間平均気温は、長期的に見ると上昇傾向にあり、1990年代以降は高温となる年が多発しています。そのような環境変化を考慮し、快適性や省エネルギー性などを満たす最適な空調設備にする必要があります。そのために熱流体解析で室内環境のシミュレーションを行います。ですが室内環境のシミュレーションは、エアコンの性能のみで決まらず、開口部の配置や室内の設置物など様々なものに影響を受けます。



FlowDesignerで行う熱流体解析

熱流体解析は、これまで2Dで行われてきましたが、現在では3Dでの解析が主流です。流体と熱の移動をシミュレーションしますが、現実では空気や水の移動は目に見えないものです。それをデジタル空間上にて色を付けて可視化し、移動経路をアニメーションとして表示します。キャディアンでは熱流体解析にFlowDesignerというソフトウェアを用いています。このソフトウェアの特徴は逆解析機能の実装、圧倒的な計算スピードと高い精度などがあります。

逆解析機能を搭載

一般的な熱流体解析では、設計案の3Dモデルを作成し、気流の流れや温度分布をシミュレーションしていました。その結果が設定目標に達していない場合は3Dモデルを修正し、再度シミュレーションを行います。FlowDesignerでは、設計目標の数値を入力することで設計案のどこを改善すべきか示す「逆解析機能」が搭載されています。シミュレーション実施回数の削減による作業効率の向上や設計意図のエビデンスを得ることができます。

圧倒的な計算スピード

熱流体解析に計算時間がかかるのは、流体の移動は不規則な動きであり、ある値「a」とある値「b」が比例しない関係である非線形解析だからです。物理法則に「フックの法則」というものがあります。天井に固定されたバネに10kgの重りをぶら下げた時、バネが10㎝伸びたとします。この時10kg の重りを20kgに変えたらバネは20㎝伸びます。これが「フックの法則」です。重りの重量に比例してバネが伸びるので、線形解析ができます。しかし、フックの法則で解析できるのはバネがあまり伸びすぎず、縮みすぎない範囲だけの話です。その範囲外での現象を解析するのが非線形解析です。FlowDesignerでは自動収束させる独自ロジックが搭載されており、ハイスピードな計算を実現できているのです。構造によって変わるので一概には言えませんが、100万メッシュのデータ規模の計算が5分で完了します。

高い精度を実現

短い計算時間ではじき出された解析結果は簡易計算されているだけなのでは?と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。ですが、FlowDesignerは大阪大学と共同開発されており、基礎となる物理方程式がしっかりと設定されています。ですので、短い計算時間でも高い精度を実現することができます。



まとめ

最近の建築には、近年の温度変化に対応した設計が求められており、空気の流れが及ぼす影響を解析する熱流体解析の重要性は増しています。しかし、空気の流れは様々なものに影響を受けるため、熱流体解析には時間と労力がかかっていました。FlowDesignerは圧倒的な計算スピードと高い精度で安定した解析結果をスピーディーに得ることができます。また逆解析機能によって、シミュレーション実施回数の削減による作業効率の向上や設計意図のエビデンスも得ることができます。FlowDesignerを用いた熱流体解析にご興味のある方は、ぜひキャディアンに解析をご依頼ください。

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